【連載『知識創発のすすめ』】第 4 回 「発散&集約」
- 2003/09/29
cybozu2007 Admin
日本の会社における会議は長時間にわたり,最後結局何の会議だったかわからないまま終わるケースも多い。議論することの大事さと,共通の場を一定時間共有したことによる連帯感は,会社という共同体におけるある種のカルチャー醸成には意味のあることかもしれないが,創発が求められる時代にはとてももったいないことでもある。複数に人間が集まると不思議なことに場の雰囲気というものが生まれ,流れが生まれる。流れにまかせていると議論は右往左往迷走し,また経営者なり管理職の発言は積み木を崩す悪ガキのように全てをひっくり返すこともあったりする。そして議論も長時間になるとなんとなくわかった気になる(早く終わりたいからわかった気になりたい?)。しかし,会議が終わってよく考えると何も決まらず,誰も理解していなかったりもする。
しかし,これは逆に考えれば複数の人間が集まると自分の思いもしなかった考えや意見が会議の中で生まれていたりする証拠でもある。創発においてはこの複数の人間の知識のぶつけ合いから生まれるセレンディプティ(偶然の気づき)こそが大事な創発の種である。ようはこれを効果的に生み出し,意味のあるものにするように,可能な限り会議をコントロールできればそれはとても価値を生み出すことになる。まずはは発散を意識した会議である。代表的な方法としてよく知られているのは「ブレーンストーミング(以下ブレスト)」である。テーマを設定し,人の意見を否定しない形でどんどんアイデアを出していく。この時に前回まで話したように,綿密なリサーチと仮説。そしてアイデアが生み出しやすい可視化ができていればブレストはさらにうまくいくことであろう。体を動かしたり手を動かすことも大事である。そのために,歩き回れるスペースやお菓子やキャンデーなどもあった方がよい(朝の会議はブドウ糖が脳に行きやすいようにバナナやチョコレートを用意するのも効果的らしい)。もちろん意見は全て全員で見られるようにホワイトボードなりに可視化する。
こうした発散と反対なのは集約である。似たものを分類したり,関係性を分析して構造化したり整理するプロセスである。この場合には全員が理解できるロジカルなルールの設定や分析力が重要になる。発散したものを集約する手法としてはKJ法が有名である。これは多数の意見やアイデアを共通なものでくくりながら,全体の構造化を行う方法で,可視化しながら行う意味でも参加した人間の理解が深まりやすい。また分類したり構造化したものをベースにもう一度発散することで新しいアイデアを生み出すこともあるので,発散と集約はある意味で繰り返しにもなる。こうしたプロセスを経たものは同時間の漫然とした会議よりもはるかに価値のある知識が創発されているはずである。
□著者 紹介□
藤元健太郎 D4DR株式会社代表取締役社長
タグ: 連載コラム
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